金融機関が巨額な損失を出したサブプライムローンの問題点

証券化商品には大きなリスクがある

サブプライムローンとは、アメリカで2004年ごろから販売され始めた低所得者層(サブプライム)向けの住宅ローンのことです。このローンは信用力が低いものの住宅購入を希望する人に融資するので、通常の住宅ローンよりも金利が高めに設定されています。

サブプライムローンの多くは、最初の2年が固定の低金利となっており、それ以降は金利が上がって変動金利に切り替わります。当時のアメリカは不動産価格が高騰しており、購入した住宅の価格が右肩上がりでの状態にあったので、それを担保に新たにローンを組むことによりい金利負担を減らすことができたため、大きな問題にはなりませんでした。

しかし。住宅ブームが下火となり、住宅価格が下落し始めた2006年頃になると融資の際は高かった担保価値も一気に下落し、ローンの返済が滞るケースが多発するようになりました。ローン利用者の返済問題だけなら、アメリカ国内でも十分な対処ができたはずでしたが、問題はこれだけにとどまりませんでした。

アメリカの金融機関は金利が高く設定されているサブプライムローンを有価証券にして切り売りし、それを国内外の多くの投資ファンドがファンド内に組み入れていたのです。住宅ブームを根拠として、ムーディーズなどの格付け会社は証券化商品に高い評価を与えたことも、多くのファンドに組み入れられる要因となりました。その結果、返済困難となってリスクが高まったサブプライムローン関連の投資ファンドの価値が急落し、運用商品として購入していた世界中の金融機関や投資家が巨額の損失を被りました。

金融庁が2008年に発表した数字によると、日本国内の金融機関が保有するサブプライム関連の損失は2兆4360億円にものぼっています。みずほフィナンシャルグループは同年3月の連結決算で国内最大となる5650億円のサブプライムローン関連の損失を計上しています。

サブプライム問題が根深いのは、数あるファンドのなかに、どれくらいサブプライムローン関連の証券化商品があるかを把握できない点にあります。サブプライムローンが問題となり始めた当初は、国内の金融機関が受ける損失は少ないとされていましたが、アメリカの有力銀行グループ・シティなどが数兆円単位での損失を公表して以降、国内の金融機関はその損失額を次々上方修正していきました。

国内の金融機関には、長引く不況で国内の融資先に困り、余った手元資金を投資ファンドで運用しようとして、大きな痛手を負ったところも少なくありません。