リテール取引を推進するうえで欠かせない個人信用情報

業法改正の影響を受ける

銀行と異なり、融資を行うときに担保を取らないノンバンクにとって顧客の返済能力を見極めることは非常に重要です。融資を行う際の属性情報は「個人信用情報」といわれ、使命、住所、職業、勤続年数、年数、他社を含めた借り入れ状況、家族構成などが含まれます。

ノンバンクはこの個人信用情報をデータ化し、会員各社が融資の際に信用照会を行なうことができるコンピュータセンターを業態ごとに有しており、消費者金融会社系の日本信用情報機構、信販会社系のCIC、独立系のCCBという3つの個人信用情報機関があります。

返済の遅延、多重債務が発生している顧客など、いわゆるブラック情報(事故情報)は貸し倒れ等を未然に防ぐ目的で各機関が交換を行っていますが、ホワイト情報、すなわち正常な顧客の情報は一部を除いて交換が行われていません。優良な顧客情報はノンバンクにとって営業に欠かせない「資産」ですので、他社との交換は避けたいというわけです。

近年、メガバンクグループが競うようにして、クレジットカードや信販・消費者金融を傘下に収めている(ex:三菱UFJフィナンシャル・グループがアコム、三井住友フィナンシャルグループがプロミスを子会社化)のは、落ち込んでいる法人融資の収益を、リテール部門に強いノンバンク部門が持つ個人信用情報を活用することで補いたいという思惑があるためです。

従来、個人信用情報機関への加入は努力規定となっていましたが、2007年に施行された貸金業法により、貸金業者は同機関への加入が義務付けられました。これは借り手の総借入残高を把握し、社会問題化していた多重債務者の増加を抑えるためです。

銀行系の全国銀行個人信用情報センターを除く、上記の3つの機関は顧客データの適切な管理や全件登録などの条件を満たす信用情報機関としての指定を受ける必要が生じたため、そのシステム整備に追われることになりました。

大手のノンバンクになると3つの機関いずれにも加入している会社もありましたが、複数の指定信用情報機関に加入している場合は、残高情報の交流が義務付けられるため、1つの機関に絞ろうとする動きが相次ぎました。その結果、会員数の減少により利用料による収益を失うことを危惧した各機関は、加入業者の争奪戦を繰り広げることになりました。