200%で安全圏といわれますが、絶対的な評価ではないので注意

信憑性が問題となっています

1990年代後半から2000年初頭にかけ、土地価格の下落、保有株の暴落、長引く低金利政策による予定利率と運用利回りの逆転現象などの影響を受け、東邦生命や日産生命、東京生命などの生命保険会社が破綻し、2008年には大和生命も同じ道を辿ることになりました。

多くの生命保険会社が生き残りをかけて四苦八苦しているなか、保険商品を購入する際には、その会社の経営状態が健全かどうかを判断することは非常に大切です。その健全性を図る指標となるのが、1997年度決算から生命保険会社に開示が義務付けられるようになった「ソルベンシー・マージン比率」です。

保険加入者に何かあったときに保険金を支払うことを生業にしている生命保険会社は、加入者から預かった保険料の大半を責任準備金に積み立てて運用しています。

一定の「のりしろ」を加えて保険料は設定されているため、通常であれば保険金の支払いが困難になることはありません。しかし、震災などで多くの方が亡くなったり、市場の暴落で保険会社が保有している株式や債券の価値が著しく低下するなど、想定外の事態が起こらないとも限りません。こうした不測の事態に対応できる経営状態にあるかどうかを判定するのが、ソルベンシー・マージン比率です。

ソルベンシー・マージン比率の計算方法ですが、資本などの内部留保、それに有価証券の含み益などを合計した「ソルベンシー・マージン比率」をリスクの合計額で割ることではじき出されます。ソルベンシー・マージン比率が200%を超えていれば、健全な状態にあると判断することができます。

国内生保の最大手である日本生命のソルベンシー・マージン比率はこの基準を大きく超える1000%の比率があります。同社のソルベンシー・マージン総額で最も大きな金額を占めているのが「基金・諸準備金」と「その他有価証券の評価差額(保有している株や債権など有価証券の含み損益)」です。ソルベンシー・マージン比率を算出する際には、含み益の90%を算入することができます。

気をつけたいのは、ソルベンシー・マージン比率が生命保険会社の経営の健全性を示す絶対的な評価にはならないということです。2008年10月に経営破綻した大和生命は同年3月の時点での比率は555%となっていました。

健全性を図るうえでもう一つ大切な指標として「実質純資産額」があります。実質純資産とは、有価証券や不動産などの価格変動資産を時価で算出し、そこから負債(価格変動準備金や危険準備金などの資本性の高いものを除く)を差し引いた値です。金融庁は、ソルベンシー・マージン比率を基準にしながら、実質純資産を加味して生命保険会社に早期是正措置を出すかどうかを決定します。

生命保険会社は加入から預かった保険料を株式や債券市場で運営していますが、サブプライム問題とリーマン・ショックなどの影響で日経平均株価が大きく下落したため、含み損額が増大し、実質純資産も大幅にダウンしており、その対策が急がれます。