上場企業は財務の健全性と経営情報の的確な開示を求められます

重要項目の虚偽記載は罰則の対象へ

2000年代初頭、アメリカの総合エネルギー最大手「エンロン」と通信大手「ワールドコム」などの多くの企業が大規模な不正会計の発覚により経営破たんとなりました。

特にエンロンでは、会計事務所のアーサー・アンダーセンも粉飾決算に加担して倒産するなど、企業の会計報告とそれをチェックする監査法人の信頼が大きく揺らぐことになりました。

そこで企業会計や財務報告の透明性を高めるために、企業の組織内で違法行為や不正が行われないように業務の適正化を行い、組織を統制するための仕組み(内部統制)を定めた「SOX法(サーベンス・オクスリー法)」が制定されました。

日本でも西武鉄道による有価証券報告書虚偽記載事件、カネボウの巨額粉飾決算、ライブドアの証券取引法違反、粉飾決算、風説の流布といった大企業の粉飾事件が相次いぎ市場の信頼性が失墜したことを受け、金融商品取引法において上場企業の「内部統制」と「四半期決算」の報告が義務付けられました。

アメリカの先行例を参考にしているため、内部統制の報告制度を日本では「日本版SOX」あるいは「JSOX」と呼ぶこともあります。日本版SOXの目的は企業の財務報告が適正かどうかを立証することにありますが、企業
の数値が正しい業務プロセスを経て算出されているかを証明する作業になります。

日本版SOXは、上場企業が内部統制報告書を作成し、それを代表取締役が評価し、監査法人が報告書の鑑査を行うこと定めていますが、内部統制報告書は監査用に「3点セット」と呼ばれる3つの文書を作成する必要があるため、実態的には文書化作業ともいわれています。3点セットとは、業務プロセスを記した「業務フローチャート」、業務中のリスクとその統制状況をまとめた「RCM(リスク・コントロール・マトリックス)」、業務の詳細な内容を文書化した「業務記述書」です。