違反した銀行は「業務改善命令」が出されて行政処分をうけます

金融当局の権限は絶大

他の業種に比べて、公共性が極めて高い銀行業は、国の認可を受けたものだけが営むことができる業務となっており、その信用を維持し、預金者などの保護を確保するなどの目的として銀行法が定められています。

1927年に制定された銀行法は、金融の自由化、不良債権処理、金融持ち株会社など時代の変化や対応して、今日に至るまで何度も改正が繰り返されています。

特に1993年と1998年の二度の金融制度改革により、銀行法とその関連する法規は時代のニーズにあわせるかたちで、規制緩和へと大きく舵をきることになりました。

しかし改正が繰り返されても銀行法には制定当初から全く変わらない点があります。それは銀行業への参入ハードルの高さです。高度な公共性を持つ銀行は新たに開業する際に内閣総理大臣の認可をはじめ、資本金20億円以上の財産的基礎、職員の資質等が厳しく審査されます。予備審査のための膨大な開業目録書を出したのち、本認可の免許申請を行う必要があり、準備期間には1年以上は必要となります。

業界の憲法ともいうべき銀行法には銀行が業務を行う際に守るべき規定が細かく定められており、違法行為やシステムトラブル、財務内容の悪化などを引き起こした金融機関には「業務改善命令」がだされて行政処分の対象となります。1990年代の銀行破たんとそれに続いた不良債権処理問題移行、経営の健全性が大きく問われることになり、行政処分件数は右肩上がりで増加しています。

各業界には規範となる基本法がありますが、銀行法には役員の解任権までもが明記されているため、金融当局の権限は他の業界の監督省庁とは比べ物にならないほど絶大です。現在は定期的に銀行への立入り検査が実施されていますが、以前は抜き打ちだったため、不良債権等で厳しい処分を受ける可能性がある銀行は戦々恐々としていました。