中部9県3市(県:愛知、岐阜、三重、静岡、長野、滋賀、石川、富山、福井 市:名古屋、静岡、浜松)の自治体の産業振興・地域整備に関わる中堅職員をメンバーとして、行政関連テーマの勉強会及び自治体間の情報交換会を行い、地域の現状と課題、地域活性化の方向性について、情報の共有と相互研鑽に役立てる目的で2003年度より活動を行っています。
2011年度は、以下の要領にてゼミナールを開催(4回開催予定)しています。
テーマ:「異業種からの農業参入」
担当教官: 名城大学 都市情報学部 昇 秀樹 教授
アドバイザー: 名古屋学院大学 商学部 秋元 浩一教授
メンバー: 愛知県、石川県、岐阜県、滋賀県、静岡県、福井県、長野県、三重県
静岡市、津市、名古屋市、浜松市
の産業振興・地域整備に関わる中堅職員および計画行政学会メンバー
第32回 地域振興ゼミナール(2011年10月28日~29日 中津川市、中川村、飯田市)
今回は、施設栽培で農業参入を果たした企業を訪問し、農業参入の経緯、現状及び課題について、企業の代表の方からご説明をいただくとともに、地域農業の振興に取り組むNPO法人の方にも現状についてお話を伺いしました。
まず、岐阜県中津川市にある「(株)サラダコスモ」では、宮地隆彰総合企画室室長より、同社の沿革、事業規模、チコリ生産、アルゼンチンでの大豆生産と日本向け輸出及び教育型観光生産施設「ちこり村」についてご説明をいただき、その後ちこりの生産・出荷工程、ちこりを使った焼酎の生産工程を視察しました。また、この視察の前には「ちこり村」にある「バーバーズ・ダイニング」に立ち寄り、地元の農業婦人の真心のこもった地元素材のランチを頂きました。

宮地室長によるご説明 ちこりの生産工程
その後、長野県中川村にある「GOKOカメラ(株)アグリ事業部」の工場を訪れ、後藤佳子社長自ら、農業参入の経緯、事業規模、経営課題についてご説明いただきました。海外に移転した中川村の工場跡地をトマトの水耕栽培用の施設を設置し、農業経験者を入れずに工場を立ち上げ、カメラ事業時の取引先銀行の紹介による販路開拓、月次決算による収益管理について丁寧に解説していただきました。

GOKOカメラ(株)出荷場 藤社長によるご説明
翌29日(土)に訪問した飯田市にある企業組合 アップル工房イイダでは、今村忠弘代表理事から菌床栽培の半地下ムロ施設(特許取得)をご案内され、同社は、元々オンデマンド印刷事業に従事しながら、障がい者の本格的自立支援を目指してきたとの説明がありました。菌床メーカーとの直接契約により安定して品質の高い菌床の供給を受け、「美女しいたけ」としてブランド化して、味にうるさいスーパーとの直接契約により安定供給を図るビジネスモデルとの説明を受けました。そして、手摘みが求められるしいたけの収穫は、障がい者の雇用に相応しい事業であり、菌床しいたけ栽培と身障者雇用とをセットにしたこのモデルを全国に展開したい、との意気込みを熱く語られていました。

アップル工房イイダの半地下ムロの外観 菌床栽培について今村代表による説明
最後は、飯田市農業振興センターが中心となって設立したNPO法人 みどりの風を訪問しました。同法人は、農業参入事例ではありませんが、飯田市における地域農業の現状についてお話を伺うために訪問しました。ご担当の同センター 下島智和係長の説明によると、飯田市の農業行政の方針として現場と一体を掲げ、市、農業委員会、JA、農業代表者の4者の協働をめざし、地域農業の振興のための各種の活動の企画・実践に取り組んでいるとのこと。特に、後継者が少ない市田柿の生産振興のための園地管理・加工技術のトレーニングやリンゴの新わい化栽培などに注力しているとの説明を受けました。

第31回 地域振興ゼミナール(2011年8月2日)
日 時:2011年8月2日(火) 13:30-16:30
場 所:日土地名古屋ビル地下1階会議室
内 容:
(1) 講 演: テーマ-「中部圏における異業種の農業参入を考える」
講 師- 名古屋学院大学 商学部 秋元 浩一 教授
(2)意見交換:各自治体における農業参入の事例紹介
愛知県、静岡県、静岡市のご担当者から紹介
第30回 地域振興ゼミナール(2011年3月9日 日土地名古屋ビル地下1階会議室)
2011年度最後のゼミナールを開催しました。環境ビジネスに取り組む企業の事例を講演の形式で紹介し、その後メンバーの方々からご意見をお伺いいたしました。
最初の講演では、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の松田様より「エコで稼ぐ企業」をテーマに、エコビジネスに取り組む企業の事例をご紹介いただきました。これまで企業は、環境規制をクリアするための義務的対応をとってきたが、今では、温暖化対策実施によるコスト減など、企業のエコ活動が収益につながるケースが増えてきた、と説明がありました。
次に、愛知県半田市で自動車リサイクル事業に従事する豊田メタル株式会社 社長 吉田様より、同社の自動車リサイクル事業について講演をいただきました。同社は先進技術を取り込みながら高いリサイクル率を達成しているが、中長期的な課題として、使用済み自動車の減少や増加する次世代自動車(EV/PHVなど)の解体・破砕への技術的対応など課題が山積しているとの説明がありました。
講演に続くメンバー内の意見交換会では、「エコビジネスが収益に貢献できることは理解したが、中小企業では資金に余裕がなく、そのための設備投資につながりにくい」、「中小企業が環境対策をとれるような金融支援システムが構築できないか以前研究したが、結局下火になった」、「技術はあるのだから、個別行政単位ではなく連携してアジアの見本となるべき」などの意見が出されました。
その後当ゼミナールの専任教官である名城大学 都市情報学昇秀樹教授より、二酸化炭素の増加が地球温暖化の原因であるとの通説に対する懐疑論をまとめた書籍をご紹介いただきました。欧米では、二酸化炭素による地球温暖化を裏付けるデータがねつ造されたと報道されているが、日本ではそれがほとんど報道されていない、しかしながら、世界ではこのような懐疑論もあると認識していただきたい、と年間総括の締めくくりとしてご紹介されていました。
第29回 地域振興ゼミナール(2010年12月9日 美濃加茂市)
今回は、工作機械のトップメーカーであるヤマザキマザック株式会社の美濃加茂製作所(以下「美濃加茂製作所」)及び同社のグループ会社で、レーザー加工機の組立を担当するヤマザキマザック オプトニクス株式会社のフェニックス研究所(以下「フェニックス研究所」)を訪問・視察しました。
はじめに、美濃加茂研究所を訪問し、ヤマザキマザック㈱の企業概要及び環境への取組についてご担当者から説明を受けました。その後、フェニックス研究所に移動し、施設概要についてご説明を受けた後、現地視察を行いました。
フェニックス研究所は、世界でも類を見ない完全地下工場で、地下17メートルの空間にレーザー加工機組立用の工場として2008年2月に稼働しました。地下設置により、外部の騒音・振動やほこりを含んだ空気の流入を防ぎ、加工精度を向上させると同時に、空調設備に頼らず、夏は涼しく、冬は地熱を活用して暖かい天然の空調を利用することで省エネ効果を得ることができる、と担当者の方からご説明を受けました。
ピラミッド型のエントランスにある専用エレベーターに乗って地下工場に到着すると、そこには2階建ての地下工場が広がっていました。工場内は、冬は18度以上、夏は28度以下と安定しており、空調にかかる電気使用量は同規模の工場の約1割で済むそうです。レーザー加工機の製作には塵やほこりが大敵であるため、地上にある工場でも窓などはないそうですが、従業員の皆さんが地下にいることを意識しないよう観葉植物やベンチが置かれて、とてもモダンな印象でした。
第28回 地域振興ゼミナール(2010年9月8日、9日 富山市・黒部市)
今回は、コンパクトシティづくりに取り組む富山市と、低炭素社会型観光地を目指す黒部市宇奈月町を訪問視察させていただきました。
富山市では、JR富山駅前から出ているヨーロッパスタイルの路面電車「ポートラム」に試乗し、6駅離れた富山ライトレール㈱を訪問。根塚社長より「富山市の目指すコンパクトシティ」とそこに果たす「LRT(ライトレールトランジット)の役割」等についてお話しいただきました。その後、北陸電力㈱技術開発研究所に移動し、社会実験中の低床型コミュニティ電気バスの説明を受けると共に実車を見せていただきました。
宇奈月町では、「宇奈月を日本のツェルマットに」のかけ声の下、通称「でんき宇奈月プロジェクト」を手がける富山国際大学の上坂教授と低炭素社会型観光まちづくり事業実行委員会の大橋委員長に、プロジェクトの概要を説明していただくと共に、温泉街を自由に運転できる電気自動車の試乗や小水力発電設備建設予定地の視察をさせていただきました。

電気自動車のバッテリー交換を視察
第27回 地域振興ゼミナール(2010年6月11日)
日 時 2010年6月11日(金)13:30~16:30
場 所 中部経済連合会 10階会議室 会議室
講 演
①講 師:㈱日本政策投資銀行 地域企画部 企画審議役 笹野 尚 氏
テーマ:「環境分野での機会を活かした地域産業振興の方向性について」
②講 師:三菱自動車工業株式会社 EVビジネス本部
EV事業推進部 上級エキスパート 和田 憲一郎 氏
テーマ:「新世代電気自動車」
~新しいビジネスの芽生えと更なる進化に向けて~
第26回 地域振興ゼミナール(2010年2月15日)
日 時 2010年2月15日(月)13:30~16:30
場 所 日土地名古屋ビル 地下1階会議室
講 演
①講 師:(社)中部経済連合会 企画部主査 溝呂木 勇 氏
テーマ:「中心市街地活性化に関する調査研究」
~中部地域の中核的都市の魅力・活力向上を目指して~
②講 師:(社)東三河地域研究センター 調査研究室長 加藤 勝敏 氏
テーマ:「三遠南信流域都市圏」魅力・活力向上に関する調査
~農商工連携可能性調査~
第25回 地域振興ゼミナール(2009年12月1日 富士宮市・静岡市)
今回は「農商工連携」と「中心市街地活性化」という2つのテーマで現地視察を行うとともに両テーマに対する行政の取り組みや支援策を、静岡県・静岡市のご担当者より説明いただきました。
「農商工連携」では、静岡県富士宮市で養豚場との連携により、香り豊かで脂身に旨みがのった新しいブランド豚の開発・販売に取り組んでおられる株式会社さの萬 佐野佳治社長から、連携にいたった経緯や現在の取り組み、今後の抱負等についてお聞きしました。
「中心市街地活性化」では魅力ある商店街づくりに取り組んでおられる静岡呉服町商店街振興組合の川辺哲理事長より地主会議の開催、市街地再開発組合の設立、大型店との連携、空き店舗対策、1店1品運動などの取り組みの状況をお聞きしました。また名店街を案内いただきながら活性化の状況を視察しました。
第24回 地域振興ゼミナール(9月10~11日 氷見市・金沢市)
一日目の「農商工連携」では氷見市役所の担当者から「食」をまちづくりの基軸に据えている市の取り組みについて、説明をお聞きした後、農商工等連携促進法に基づき国の認定を受けた氷見市内の事例2件の研修・視察を行いました。
氷見市農協では、関連の農業生産法人JAアグリひみが地元生産のハトムギ(農協が農家の指導)と立山からの伏流水を使って開発した「氷見はとむぎ茶」と,それをベースに金沢大学の学内ベンチャーと共同開発した高機能エキスを加えた「氷見はとむぎ茶ゴールド(販売は来年度から)」の事例について説明を受けました。
余川ブドウ畑では、耕作放棄地を利用し、これまでは廃棄されていた雑魚をたい肥化してワイン製造用のブドウを作る取り組みについて、事業主体である(株)T-Marks様から説明をお聞きし、漁業・農業(ブドウ)・工業(ワイン醸造)・商業の連携状況の理解を深めました。
二日目の「中心市街地活性化」では、初めに金沢市役所の担当者から、平成19年~24年を対象期間とする「金沢市中心市街地活性化基本計画」について、古さと新しさが調和する美しい町づくりや、人を惹きつける魅力ある商店街の形成等、参考となる考え方をお聞きすることができました。また、この基本計画の中でも重要な事業と位置付けられていた、近江町市場活性化事業としての近江町いちば館のリニューアルについて、今年4月の完成までの取組みを市街地再開発組合様からお聞きしました。新しい地下1階・地上4階建のいちば館のビルは、中にアーケード街を設けるなど既存の市場との一体化にも考慮して懐かしさも合わせ持った施設となっています。また大通りをはさんだ向かいの武蔵ヶ辻地区とも地下道で結ばれ、買物客の回遊性も考慮されたものとなっています。
6月のCIRAC合併により、新たに事業エリアとなった富山県・石川県での、初めての泊まりがけによる実施でしたが、参加者にとって有意義な視察であるとともに、参加者相互の一層の交流を図ることができたことと思います。 今回得た知識・経験を、今後の業務に役立てていただければ幸いです。

